概要

画像「輪転印刷機」

国内メーカーとして初の輪転印刷機を生み出した株式会社 東京機械製作所 様は、明治7年(1874年)創業で1世紀以上の歴史を持つ。長い年月をかけて受け継がれた技術は時代を超え、現在は国内外の新聞社や印刷会社に向けたオフセット輪転印刷機を主力に製造、販売している。輪転印刷機の主要装置は国内生産で、すべて社内で完成させることがポリシーだという。

輪転印刷機を製造するために必要となるのが、社内で手掛ける『設計情報管理システム』。このシステムは2005年に開発されてから現在まで、機能追加や新環境対応といったメンテナンスが続けられている。2008年よりComponentOne製品の導入をきっかけに、以来ComponentOne Studioを継続してご利用いただいている。設計情報管理システムの開発で培われたノウハウを基に、現在では『顧客情報管理システム』のほか、多数の社内システムも開発している。あらゆる業務システムに対応できるComponentOne Studioの利点を活かし、「コンポーネントを基準にした」開発スタイルについてお話を伺った。

試行錯誤を繰り返して完成した『設計情報管理システム』

新聞や大量部数の雑誌を印刷するための輪転印刷機は、何十万という小さなモジュールや装置が組み合わさることで完成する。このモジュールや装置1つ1つに設計図が存在し、設計者は設計図を基に必要な部品の数と種類を把握する。そのために必要なのが『設計情報管理システム』だ。これに項目を入力し、データベース化することにより、輪転印刷機の部品構成が細部に渡り一覧表示できる。また、設計の承認を得るための帳票を印刷するのもこのシステムだ。

画像「設計情報管理システムの概要」
設計情報管理システムの概要

『設計情報管理システム』は、2005年にUNIXベースで開発された。初期のシステムを知る東京機械製作所の山田博氏は、当時の課題を次のように話す。

画像「株式会社東京機械製作所 山田博様」
かずさテクノセンター
製造部 管理課 専任課長
山田 博 様

「初期のシステムには帳票の仕組みがありませんでした。そのため、帳票の部分は設計図を書くために使うCADのAPIを使って、座標や文字のポイントを指定して表を書いていました。今考えると、とんでもなく時間のかかる作業です。」

このシステムは2008年に.NETに移行することが決まり、当時個別の開発ライセンスでパッケージ販売されていた「FlexGrid」と「True WinReports」を導入。こうして現在のシステムの基盤ができた。

数年後、OSのバージョンアップに伴い、システムのバージョンアップも必要となった。その際、Visual Studioの標準コントロールのみで開発を試みたが、学習コストなどの観点から断念したという。同社の市川元氏は次のように振り返る。

画像「株式会社東京機械製作所 市川元様」
かずさテクノセンター
製造部 管理課 情報システム係 係長
市川 元 様

「Visual Studioの標準コントロールのみで開発を進めるにあたり、使い方を検索したり、入門書や参考書を読みました。情報量は多いけど分散していて、本当に必要な情報を探し出すのが手間だし、何より分かりにくかった。ComponentOne Studioはコンポーネントの名前空間が整備されているし、クラス構造も分かりやすい。また、ドキュメントを見ればある程度のものが完成できるんです。これだったら、初期導入の費用がかかってもコーディング量が減ったほうが絶対良いだろうと、周りを説得しました。」

このような経緯から、以前導入していた単体パッケージ「FlexGrid」の後継であり、FlexGridの最新バージョンが収録されているComponentOne Studioを使用して開発を進めることになった。コンポーネントには互換性が保たれているので、特に問題なくバージョンアップができたという。また、多数のコンポーネントが収録されている「コンポーネントセット」であることが、同社の開発において新たな手法を見出すことに繋がった。

「コンポーネントを基準にした」開発スタイルの確立

もともと必要であったグリッド(FlexGrid )と帳票(Reports )を使用することは決まっていたが、多くのコンポーネント群を見て、『ほかにも使える機能があるのではないか?』ということに気が付いた。

画像「株式会社東京機械製作所 高斎厚様」
かずさテクノセンター
製造部 管理課 情報システム係
高斎 厚 様

製品ヘルプを確認していく中でPDFコンポーネント に注目し、以前より要望のあった「図面のPDF化」を実現することができた。同社の高斎厚氏はこう話す。

「設計図を書くためのCADは、TIFFに変換することはできてもPDFへの変換はできないんです。そのため、以前はTIFFを出力してスキャンしPDF化するという工程がありました。ComponentOne StudioのPDFコンポーネントを利用したことで、システム上でTIFFからPDFへの変換ができるようになり、業務工程を1つ削減することができました。」

さらに高斎氏はこう続ける。

画像「ゲージを利用した内部システム」
Gaugesを利用したDB監視システム

「最近ではゲージ(Gauges )コンポーネントを見て、データベースのセッション数やパフォーマンスを監視する内部システムを作ってみました。思ったより簡単に実装できましたね。いろいろなコンポーネントを使うことは学習にもなりますし、実は結構使える機能だった!という発見にも繋がります。」

このように、セット製品であることの利点を活かし、『使えるコンポーネントは積極的に使っていこう』という意識になった。

システムが整備されても、各セクションからは機能追加の要望や、業務の課題解決の相談が後を絶たない。そんな時はまず、ComponentOne Studioの製品ヘルプやWebサイトから、その要件に見合ったコンポーネントがあるかどうか確認するという。

「常に業務で使えそうなものがあるかアンテナを張っています。各セクションから相談された課題にはどんな解決策があるのか、コンポーネントの機能からヒントを得て提案することもあります。」(市川氏)

こうして同社の開発は、「コンポーネントを基準にした」形に確立され、全体の開発工数も削減された。

『設計情報管理システム』で培ったノウハウを活かし次の開発へ

同社では、前述した『設計情報管理システム』のほか、数々の社内システムを内製している。『顧客情報管理システム』はその代表的なシステムの1つである。輪転印刷機を発注~納品後も、営業、技術、保守といったさまざまなセクションの社員がお客さまへコンタクトを取る。しかし、その情報はセクションごとにバラバラのExcelで管理されており、いつ誰がどのようなアクションをしているのか分からないことが問題となっていた。これに対し市川氏は、ComponentOne Studioのガントチャート(GanttView )の機能に目を付けた。

「ガントチャートは、一般的には工程管理やスケジュール管理に使われる機能ですが、応用すればセクションを跨ぐお客さまへの対応記録を一覧表示することができると思った。これもWebサイトを見て閃いたものです」(市川氏)

画像「GanttViewを応用して開発した顧客情報管理システム」
GanttViewを応用して開発した顧客情報管理システム

完成した『顧客情報管理システム』では、お客さまごとに各セクションがいつ何をしたのか、時系列で分かるようになっており、訪問時のメモや出張報告書も参照できる。かなり作り込まれているように感じるが、『設計情報管理システム』を開発した経験が活かされ、コンポーネントの使い方にも慣れていたため、大変さは感じなかったという。市川氏は「標準コントロールのみでは、無理でしたけどね」と付け加えてくれた。

将来を見据えて「Enterprise」を導入し、リニューアル

同社のシステムは現在「Windowsフォーム」で開発されているが、すべてのエディションを利用できるComponentOne Studio Enterpriseを導入いただいている。

「現在のシステムを社外で使いたいという要望があり、Webアプリ化、マルチプラットフォーム化を考えています。やはり外回りの営業はタブレットのほうが手軽ですからね。将来的にWindowsフォーム以外を選択することを考え、あらかじめEnterpriseを導入しています。」(山田氏)

同社が所有するComponentOne Studioのライセンスは、既にリニューアル(更新)を行い1年以上利用いただいており、今後もリニューアルを継続する予定だという。

「サポートの安心感がある、というのもリニューアルをした理由の1つですが、年3回のバージョンアップも楽しみにしています。これだ!と思う新機能はどんどんシステムに取り入れるので、Webサイトやリリースのお知らせメールはよくチェックしていますね。リニューアルの価格が安いのも継続しやすさに繋がっています。」(市川氏)

日々システムによって業務を改善できていることで、「社内の人間に、システム化すれば楽になるということがバレてしまいました」と明るく話す3人。要望は今でもたくさんあるとのことだが、社内の課題を知り、コンポーネントのメリットを活用できているからこそ、社員に寄り添ったシステムを素早く開発することができている。

グレープシティでは、今後も同社に製品を継続いただけるよう、業務システムのニーズにマッチした機能追加に努めていきたい。

画像「株式会社東京機械製作所の皆様」

●本記事は 2016年4月現在のものです。

株式会社 東京機械製作所 様

画像「株式会社東京機械製作所」
所在地 本社
〒108-8375
東京都港区芝五丁目26-24
設立 1874年
会社概要 明治7年に創業し、国内メーカーとして初の輪転機を製造。以来、1世紀以上にわたり印刷機メーカーとして常に先進技術の開発に取り組み、数々の輪転機や周辺機器などを製作し、業界をリードし続けている。
URL http://www.tks-net.co.jp/